ガード板と便器のあいだを開けることにした理由

『おしっこガード とびちらずー』は、隙間の手前で、ガード板がおしっこを受け止めることで、隙間漏れをガードしています。

でも、最大の特徴は、実はそこではなく・・・
ガード板と、便器との間を、密着させずに、間をあけていること、です。

思いついたきっかけと合わせて書いてみます。

きっかけはポータブルトイレの汚れ

思いついたきっかけは、ポータブルトイレでした。
ポータブルトイレの便器のふちの溝に、時々おしっこが溜まるのに困ってたんです。

ポータブルトイレって、バケツ部分に溜まった尿や便は、バケツだけ外して運んで処理できる。
でも、便器の縁の溝に溜まった尿汚れって、少しなら、さっと拭き取るけど、
多いと、もうちょっと手間がかかる。
(・・・あ、これは、当時は、の話。今はその部分も取り外せるなど、改良されたものがあるようです。) 

と、ここで。
そもそも、なんで、ポータブルトイレの便器の縁のとこに、溜まるほどのおしっこがあるのか?と思ったんです。
いや、ふつうのトイレでも、便器の縁は汚れやすいですよ。
でも、ちょっと普通のトイレで想像するより、多いなぁ、と。
多忙だけど、掃除せずに放っとくような施設でもなかったですし。

しかも、よく見たら、使ってたポータブルトイレは、
便器の縁の内側が高く出っ張ってガード部分になるとともに、
便座の縁の内側は下に長めにしてある。

つまり、
便座裏の凹みの中に、出っ張ったガード部分が位置していて、
隙間を塞いでるわけではないけど、実質、真横から見たら隙間がない状態にしてあるという。
工夫された、いいポータブルトイレだったと思うんです。

むむ?? 
普通のトイレよりも、おしっこ漏れしにくい工夫がされてるのに、
それでも、そのガード部分を超えるおしっこがあるのか!
これは私にとって、かなり衝撃でした。
恐るべし、おしっこパワー

・・・この疑問については、後になって、
姿勢の問題などで漏れやすい方向におしっこがとんでしまうことが少なくない、と思えたことと、
勢いよくおしっこが当たると、100%下に流れるとは限らず、上方向に伝わっちゃうものもあることがわかった、という経緯を経て、
ポータブルトイレの便器の縁におしっこ汚れがたまっちまう要因が見えてきたんですが。

だから、どーすりゃいーのよってとこが課題で。

さっと掃除できて、洗剤も水も流れる、そのままひっかけて使えるし、すぐ乾く

ポータブルトイレの便器の縁の汚れって、例えば、トイレ介助のあとにすぐ処理すると、
ご本人(施設の入所者の方)にも、そういう作業が見えてしまって・・・
「ごめんね」「手間かけるね」そうおっしゃる方もおられました。

もうちょっと違うタイミングでできたら・・・とは思うけど、現実、それがなかなか難しい場面でそうなってたと思うし、
せめて、その場で部分洗いというか、ちゃちゃっと流せたらいいのに、と思ったけど、
なんせ、部屋の中だし、その水、こぼれたらやだし・・・

それで、私が思ってたのは、
おしっこをガードする部分が、便器の縁じゃなくて、
バケツの上空で宙に浮いてたらいいんじゃないの??と思ったのでした。

そしたら、ガード部分を超えたおしっこも、便器の縁じゃなくて、バケツの中へ流れる、
ちゃちゃっと掃除の水も、バケツの中へ流れる。
簡単に掃除できて、洗剤も水も流れるし、そのまんますぐ乾くぞ、と。

最初の思いつきとしては、その場で掃除しやすいことを思ってたのです。

ガード板を超えたおしっこも流れる

でも、掃除も大切だけど、元の元はといえば、メインはおしっこの隙間漏れが課題なわけです。

一般的には、ぴったり隙間を塞ぎ続けていれば、超えるはずないでしょ?、と思うかもしれません。

でも、工夫してあるポータブルトイレですら、汚れが溜まる、ということがショックだった私には、そうそう簡単にいくとは思えなかった。

便座って、上げ下げするし、
座ったり、立ったりする時、ちょっと動いたりもします。

そもそも、トイレの便器と便座の組み合わせとか、位置関係も、いろいろあるので、隙間の状態もいろいろ。。。

これよりも後の話ですが、実はたくさんの漏れ対策が特許出願がされていたのに、世の中に出て広まってはいないと感じたこともショックでした。

特定のトイレだけならともかく、汎用にするのが難しい面はあって。
私たちで作っている『おしっこガード  とびちらずー』の場合は、
自分で取り付けるので、わずかの隙間は残りがち、という事情もあります。

ともかく
ほんのちょっとでも、超えてしまったおしっこは、汚れとしてたまってしまう。
もしも、大量に、何度も超えてしまうとしたら・・・ 掃除しないと、結局、便器外へ漏れてしまう。

そういうふうに考えていくと、
完全にガードすることを目指すより、
ガードを超えることも想定して、便器の中へ流したいと思ったのです。

同時に、おしっこをストップすればOK、なわけじゃない。
できるだけ、メンテナンスがラクじゃないと、
維持しやすくないと、
そして、見た目にも、負担になりにくいものでないと、
総合的な改善にはつながらないと思ったのです。

それで、ポータブルトイレのときの思いつき、
バケツの上空に、ガード板が宙に浮いてたらいいな、というのを結びつけて、
ガード板を便器と密着させないことにしたのでした。

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